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 実習を始めて気がついたのは、図面の読図についてかなりの訓練されていて、誰もの能力が高いことです。5年過程で(おそらくは)技術者として社会に出てからの分野に合わせた専門教育に細分される以前の2年次生が、小さなノンスケールの図面からしっかりとポイントを読み取ってくるんだなぁと感心しつつ、同い年の頃に元女学校でひたすら遊び惚けていた自分を思い出したり。また実習グループの組み方も秀逸で、おそらくはお互いのモノの好みと得意なコトとの補完を考えながら相手を選んでいるように見えました。
中学生の頃から「建築に関わる一線の技術者になる」という同じ生き方を選んで集う人達の心づもり(というか決心)はなんとも迫力あるな、とも感じました。

 そんな中でも各人のモノゴトを進める方法には大きく違いがあって、小さな図面からキッチリと寸法を割り出し墨付けしては部品を仮組する人がいれば、図面をHRへ忘れて取りに帰り10分ちかく遅刻+残った一人が同じ図面を選んだ隣のグループがどうやって作っているかを注視+チームが全員揃ったのは更にその後+図面を読む役が特定部品にセンター墨が描かれていないことの意味を追及している横で実際に組み立てる役はワタクシと視線が合うと「ここどうする」「・・・(これでどうよ)」とディスカッションに引きずり込んで一緒になってアーでもない/コーでもない「はい、そのアイデア頂きました!」などと言いながら結局は図面に曖昧にしか指示されていない部分を独自の解釈でクリアして(その結果このチームのテーブル脚は分解できない)指定時間内に最も接合部の強度が高い模型を組み上げ「出来てもふらふらしてたらダメなんだ!」とアジったり、実に楽しかったです。ワタクシが思うに両方とも”正解”です。

 生徒さん達から感じた迫力は、ワタクシが「誰もが実のところ一体何をどこまで教えてもらえるのか把握しきれずに集っている学科で、しかも地元の坊っちゃんお嬢ちゃんの通う私立のミッションスクール」で感じた、個性派ばかりで何でもありでここで何を学ぶのかという全てを自分で編み出さないと前へ進まない専門教育の場との違いなのかもしれないです。
ワタクシのなかで工業高等専門学校の卒業生と言えば、国立Y大学に編入して大学院修士まで修めて(当時は大学院に進むだけでも凄かった)世界中の人々のくらしを支える大型機械を作る仕事に引き抜かれるような、バリバリ勉強してきて・もっともっと勉強して・世界の第一線を切り開く技術エリートのイメージしかなくて(それは女の子が大好きなakbさんですね!)意外なほどそれとのズレは小さかったです。

 あと、最難関の椅子を選んだチームにはもう少しきちんとサポート出来たらよかったかなぁとも。実習で組み立てなかったキットが1セット(もしかすると試作に使うキットにもまだ余りがあるかもしれません)残っているので、定期試験が終わったら高増研究室の室生さん達と感想戦をしてみて下さい。件の椅子は室生さんの試作含めてのべ7台も作ることになりますので、難関の接合部分にもノウハウが蓄積されているはずです。

 というわけで一番楽しかったのはワタクシ、という結論に。

 クムルスが学校の授業で使う実習素材を提供する活動もそれなりに案件を重ねてきました。
 少し話が離れますが、名古屋芸術大学のプロダクトデザイン系の学科が天童木工さんと産学協同して「自分たちが学校でつかう椅子」の開発をした件の発表会に参加したことがあります。そのとき、総責任者の教授が全体講評の冒頭で言われたのは「みんな、指は全部そろっているか?左右10本全部あるか?」でした。これは単なる冗談ではなくて、教育の現場で本物の家具を加工できる電動工具などを使って学生さん自身が実習(試作)をすることで指導者がどのくらい大きなリスクを負うか、を一言で述べたものです。学生さん達は笑っていましたが、先生方と一般招待者はその言葉を真剣に聞いていました。
 「1000脚の椅子」のとき、とある学校の将来的にプロダクトデザインに関わりたい学生さんたちが「ジグソー」という簡易な手元電動工具を使って本物の椅子を加工する実習をしようとした際、学内の会議では実習内容よりも「もし」が起きたときの責任問題が延々と何度となく話し合われたそうです。実習を担当された先生も「時間中に誰かが怪我をしないかと心配で本当に恐かった」と後日教えて下さいました。件の先生は後に自由な実習環境のある学校へと移って行かれました。
 今回の実習素材(キット)を作るにあたって検討しなくてはいけない要件は、初期の固定時間が短い接着剤があるけれど生徒に単独で使わせてもいいか、板同士を貼り合わせる接着剤にシックハウスの指定化学物質が含まれていないか、果ては、ダンボールの表面紙の切断面と平行に手を滑らすと皮膚が切れるがこれをどの様に予防するか、といったものでした。これらは実務に関われば(おそらく)実際に使うであろう素材ばかりです。それでも細心の注意を払って選び、対策を講じて実習に持ち込みました。
 モノつくりの道へ進もうとする人達が、実際にモノつくりの片鱗に触れる機会から遠ざけられつつあるのが実態かもしれません。
 それでも生徒/学生さんに、なにより先生に興味を持ってもらえる教材ネタを提案できないか?というクムルスの試行は、大学をなにか資格を 貰って から出たくて調べたら「職業指導 前期2単位・後期2単位」だけで教育実習なしに高等学校の学校教員免許(工業)が 貰える ことがわかりラッキーラッキーと小躍りして受講申請したがその趣旨は「おまえら免許はやるから現場実務のことを学校の教室へ持ち帰ってこい」だったと知りこんなバブルの最中にそんなコトを本気で考えてるお役人さんがこの国にいるのだと感慨深かったことに起因します。そして、センターラインを逸脱したなんちゃって技術者にも出来ることがありそうだったので「やってみた」というのが真相です。
 おそらく、クムルスがこういった企画を直接に実施することはもうないでしょう。
これまで協力して下さったさまざまな皆様、ありがとうございました。

 最後になりましたがエンツォ・マーリさんがHIDAのショールーム(東京、表参道)でインタビューを受けているビデオをご紹介します。是非、最後までご覧下さい。
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 この実習は「誰が」「誰と組んで」「どの図面を選ぶか」をそれぞれの生徒さん自身で決めてもらいました。
このときに「部品の種類と数が少ないから1123XEを選ぶ」「如何にもテーブルらしいから(イタリアのデザインらしいから)1123XDを選ぶ」という典型的な選択肢があると予想していました。
 この二つは材料の容積を比べるとXDの方が少し大きい。実際に組立てるとXEは比較的高い組み立て精度を求められつつも(治具などの準備なしに)それを達成するのは難くて、XDは木板で作るのであれば比較的容易に形にできる。大量生産するのであれば輸送・保管なども含めてXEの方が原価を安価に出来そう。では実際に売れそうなのはどちらかと言えば、おそらく馴染みのある4本脚のXDかと。

 日本の建築とかインテリアの分野で「デザイナー」といえば意匠設計者の意味である、というのは納得をして頂けると思います。これらの何かを作って対価を頂く業務のなかで「デザイナー」とは何をする仕事だろうと考えると、商品を企画した人の意向を最大限に件の商品へ反映させることに他ならないわけです。形のない観念とか思いを形あるモノへと翻訳(インタプリタ)する仕事が「デザイナー」なのです。
その翻訳された観念とか思いを最大限に生かせる方策を突き詰めて実際のモノにして作って供給するのが、生産に関わる人達(たとえば「技術者」「製造管理者」「技能者」)であり、さらに供給したモノが実際に使われてさまざまな事象が発生するのに対応する人達(たとえば「コールセンター」「営業マン」「保守技術者」)がいて、そこから得られた教訓とか要望とか期待がもういちど商品を企画する人(たとえば「ディレクター」「マーケッター」「デベロッパー」)に戻されるという「デザイナー」を飲み込む円環があります。この円環は、収益を上げるという共通の目的を達成するために回っているのです。

 例えば日本における「建築士」という技能資格の有資格者さんは、本人の意向で「技術者」でもあり「デザイナー」コトによっては「芸術家」でもありうるわけで、とても位置づけが曖昧かも知れません。ですが、とくに個人で建築士事務所を営まれる場面では前に書いた円環のうちで実際にモノを現場で作り維持する作業を除く全てを、ほぼひとりで背負い込むことになります。
実習をされた建築学科の生徒さん達の全てがそのような業務に就かれるわけではありませんが、その一部分を担っていくことは間違いないでしょう。誰と組んでどれを選びどんなアイデアを出しながら組み上げて日々自然の力で壊れてゆくモノを維持していく作業は少し似ているのかも知れません。
ワタクシは「建築士」ではありませんから解釈に誤解があるかもしれません。でも、どんな仕事もおなじような円環の中でモノゴトが進んでいくように思います。

 演習に立ち会ってワタクシが得たコトについては項を改めます。

 さて実習は終わりました。

 組み上がった模型は大きなものでは人の背丈ほどの寸法がありますので、ほかの教科と共用している教室には置いておけません。この教室は「実習室」ではなく「一般教科教室」で、実習が終わると同時にドイツ語の教科書を持った生徒さんと入れ替わりました。というわけで、授業の残り30分ほどは同じ階にある学生共有スペースへ模型を移動して仮置き、そこで講評となりました。
生徒さん達は騒然としたいましたが、高増准教授に言われてワタクシもこの実習で託した思いから幾つかを生徒さんに伝えました。

限られた寸法の材料を切った微かな容積の部品を組立てると、こんな大きさの立体が作れてしまうこと。
 初めてこのくらいの大きさで家具の紙模型を作ると「こんなにでかいのに立ってる!」という当たり前だけど想像外の事態に感激します。今回もユニット毎に組立てた部品を組み合わせて立体が立ち上がると驚きの声が上がっていました。
「立つように考えて作れば立つ」そして「危うい関係の上でモノは立っている」の2つのバランスを感じて欲しくて、現場でこの感覚を忘れたときにモノが壊れたり落ちたりします。

斜材を組み込んで三角形を作ることで力の流れを調整していること、それが意匠にもなっていること。
 この図面集に収録された家具をつくる意味のひとつがこれだと考えています。
家具は箱型と板と棒で四角四面に出来ているモノという感覚は特にユニークな家でくらさない限り身についているでしょう。でも表に見えない部分などに斜材あるいは形を安定させる部材といった、力の流れを調整している部品が隠れていることも多いわけです。
そんな様々な力の流れを調整する手法の原型(アイデア)が、これらの家具には溢れています。そして全ての解決策は材料の厚みと幅に基づいたルールで統一され、意匠として表面にあらわれて家具の姿を決めています。それをモノの品質と品位を高めるまでに統合しつつ、接合の考え方はもっとも簡素な手法を選んでいるこれらの家具は、それぞれ「たったひとつの解答」に辿り着くところまで練り上げられています。
 これらを真似ても、ここから容易に発展できるような解答ではありませんが、それを作ってみて確かめる行為には大きな意味があると考えています。

木の板を釘で繋ぐことを想定してデザイナーが描いた基本設計図(デザイン画)を、材料と接合の仕様を変えてデザイナーの意図した通りに作り上げるには、それに見合った工夫と解決策を見いだす必要があること。
 工業高等専門学校という第一線へ技術者を送り出すための教育機関で行われる授業の中で、このワークショップを実施する最大の意味はここにあると考えていました。素材の選択、接合する手法の選択、基本設計(意匠と性能)の実現(達成)、という円環は技術者として生きていく上で一生ついてきます。基本設計(デザイン図)と実施設計(つくる図)との関係に気がついてもらえたらなぁと。
材料がダンボールだからといって「紙は貼ればくっつく」といった感覚では形にならないことは、やってみてわかったと思います。紙は木よりも湿度と温度の変化にも敏感なので雨が降れば反り、晴れればまた反ります。接合に用いる材料によっては真夏の気温で緩んでしまう。これらの模型も展示しているうちに少しずつ壊れていくはず。「1000脚の椅子」は実習で自分が完成させた椅子を実際に使って見て欲しい、というのも課題のひとつでした。今回はおそらくこれから壊れていく紙模型をいかに修復するかを考えて頂くことでその代わりとしたいのです。模型と実物の間にある隔たりとか、試作で試行錯誤を重ねて実作へ繋げる過程とかも感じて欲しいところです。

といった話をしましたら、水を打ったように静まった生徒さん達が鋭いガンを飛ばしてきて、ワタクシまずいこと言ってますか?感に包まれてしまいました。

 じゃあそれって何なのよ?については項を改めます。

 では「マーリをつくって」が実際どんな感じだったかをさらっと。

DSC01807.jpg すでに書きましたように[autoprogettazione?]のに収録されている図面の家具たちは、特定の長さの材料からとても効率よく部品を切り分けることができます。というわけで部品を重ねるとこうなります。
殆どムダがないことが一目でわかりますね。
このことはエンツォ・マーリさんも強く意識していらっしゃるようで[autoprogettazione?]を紹介するビデオのなかにも部品を梱包した状態のスケッチが出てきます(1:05頃)
 これを学生さん達にも一目で理解してもらいたくて、件のスケッチの雰囲気を大切にしながら、材料を切り出す前の素材の長さもわかるように1台ずつ梱包をして搬入しました。

 [autoprogettazione?]の図面集には棚とかワードローブ、可動式の天板をもつテーブルなど様々な家具が収録されています。実習につかうキットはその中から長方形の天板をもつテーブル脚とベッドフレームを9種類えらんで12台、椅子を1種類で2台を用意しました。
 それぞれを組立てる際の難易度の差は伝えませんでしたが、特に問題になりそうなポイント(読図を間違えると形にならない)については図面上に※を付けておきました(その詳細は伝えてありません)。そのほかの資料も含めて、課題の説明、資料の提示、ビデオの視聴、作りたい図面の選択(4人ほどの実習グループで作りたい図面を選んでもらいました)、組立てる手順の考察などを高増准教授さんが実習の前の週に授業をされました。これにはcumulusuは立ち会っていませんので詳細はわかりません。「1000脚の椅子」と同様に教材の提供までで、実際の授業でどの様に活用するかは担当される先生にお任せしました。ただし、今回のような課題は先生も生徒も初めて(当然ですね!)なので、翌週の実習には授業を無事に進行するためのボランティアとして参加しました。

 前日の夕方。材料が直射日光を浴びると乾いて反るので「晴れませんように」とお祈りしていたらちゃんと曇りました。というわけで道中での変質を心配することなく米子工業高等専門学校さんへ移動。すでに高増准教授さんが教室内の机を2本毎に並べ替えたりなど現場のセッティングを終えられていたので、各机にキットを割り当てるだけで搬入も終わってしまいました。

 当日の朝。トミー谷さんと箒・ちりとり・バケツ・雑巾をもって教室前の廊下で鍵が開くのを待機。
実はテーブルも床もとても汚れていまして、ちょっとこれはアレだろう(cumulusuはイベント実施の後、事前よりも綺麗に掃除して帰ることにしています)ということで机と床の掃除を。ほぼ終わったところでHRを終えられた生徒さん達が教室に入ってきて、いきなり実習がはじまります。

DSC01873.jpgDSC01947.jpgDSC01949.jpg







 なにか開始前にコメントをと言われたので「組み立てキットですが図面通りに組立てても組み上がりません。(ええええええの大合唱)そのために前の時間に組立て方を考えて頂きました。ワタシが何を言っているかわからないでしょうが、実習が終わればわかります。じゃあ楽しみましょう」とかスピーチして騒然。
 そのまま、実習を始めます、と生徒さんの手で部品の梱包が解かれました。まずは部品の確認をして頂いて「一般の方とこういったワークショップをすると、部品の確認をしてからだいたい30分か45分で出来上がります。皆さんもその位で出来上がるはずです(えええええの大合唱)」と言い渡して、高増准教授さんも目が点に。実は事前試作を高増研究室の室生さん達にお願いしたのですが、平均的な完成時間は1時間半くらいだったからです。
今回の実習では早い組は30分程度、遅い組も45分程度で予定通りに完成しました。これには高増准教授さんも驚かれたようです。
米子工業高等専門学校建築学科さんの公式webにも記事がありますのでご覧下さい。

 実施を終えての感想などは項を改めましょう。

 唐突ですが「実物大ワークショップ(WS)」の実施を終えました。

 会場は米子工業高等専門学校の建築学科2年次生のデザイン基礎という科目の授業中、というわけで参加したのはすべて学生さんでした。総勢38名。cumulusの企画としては「1000脚の椅子」に次ぐ規模になります。
予想外の大好評で、実習に立ち会った私も改めて学ぶところがありました。
みなさん、お付き合い頂いてありがとうございます。

実施の経緯など。

 Daneseの製品などで知られるプロダクトデザイナーのEnzo Mariさん。近年では無印良品の家具とか、飛騨産業杉圧縮材を使った家具などで作風を知ることができます。
 この方が1974年に発表したプロジェクト[autoprogettazione?]は、長さを切った板材と釘を使って出来るだけ簡単に家具を組立てるといったテーマで、G.Th.リートフェルトさんの[Crate Furniture]に近い発想と構成です。[Crate Furniture]と[autoprogettazione?]の構成(構造)でいちばん大きな違いは、[autoprogettazione?]には斜め材が積極的に取り入れられてトラス構造的な力の逃がし方をしながら全体のデザインに生かしている点でしょう。これが1930年代に発表された[Crate Furniture]から1970年代の[autoprogettazione?]への進化(イノベーション)だと考えられます。
 [autoprogettazione?]の図面集が未だに手に入る(よくよく探せば)と知ったのが昨年の年明け頃で手元にやって来たのは4月頃だったでしょうか。その前年の秋、スペインで発行されている[apartamento]にエンツォ・マーリさんへのインタビュー記事が掲載されていました。この取材はミラノにある仕事場で行われたようで、ご自身のポートレイトでバックにときどき写っている白いメラミン化粧板張り(おそらく)の天板をもつ大きめの机の全体写真も載せられていました。よく見ると、一番大きな天板を支えている脚がちょっと変わっているのに気がつきました。これはなにかなぁと思っていましたが、実は[autoprogettazione?]のひとつ、1123XI TAVOLO QUADRATO だったのです。
 もしかすると40年近く前に発表した試行を本人が未だに使って試しているのか?
作者がそこまで思いをいれる[autoprogettazione?]って一体なんだろう?、これが私が抱いた最大の興味でした。
 ひとまずテーブル脚とか椅子を幾つか作り、実際に使ってみました。それを通して、この図面集で実物大のダンボール家具模型をつくるWSを実施しようと思わせる何かを感じてしまったわけです。その理由は、必要最小限のことしか書き込まれていないのに作り手につたえるべき全てを盛り込んだ基本設計図(デザイン画)であったこと、ほぼ全ての構成材料がある一定の長さの材料から無駄なく切りだせること、実際に組上げたときにデザイン画を越えた驚きがあったこと、でした。これらのことは図面を見ながらキットを組立てるだけでも追体験できるとも感じました。

 この企画は昨年の春に思いついて梅雨入り前に一般向けで実施しようと考えていたが、米子市公会堂の冊子を優先したために1年繰り越された、というのは以前にも書きました。1年経ってみて、これを実施するのに最適な場所はどこだろうと考えたところ、「1000脚の椅子」と「リートフェルトをつくって」の時のことを思い出しました。
 cumulusの地元にある米子工業高等専門学校さんは「1000脚の椅子」に興味を持たれましたが断念をされました。実は木を加工する道具も場所もかなり限られて実習に支障があるレベルだとその時知りました(当時のことです、現状は把握していませんがスギの間伐材でベンチを作ったりする実習があるそうなので改善されているのかも知れません)
翌年、「リートフェルトをつくって」のDMを米子工業高等専門学校さんにもお送りしたところ、4名の学生さんが道もわからない松江の街にある知っている人しか辿り着けないようなギャラリーまでわざわざ来られて、小さな椅子を作って帰って行かれました。
 ああ、そういえば米子工業高等専門学校さんは何度もお声がけをしたけれど実質あの1度しか接点がなかったなぁ、ダンボールの組み立てキットで家具模型を作るのなら設備がない普通の講義室でも大丈夫だなぁ、などと思いながら同校の准教授をつとめていらっしゃる建築家のタカマスヨシコさんに話を持ち込みました。すると数ヶ月後にデザインの授業で家具の設計課題を出そうとされていたようで、ではそれに組み込んでみましょうかと話が進みました。
 ただし、授業時間が90分ほど、しかも朝いちばんなので時間の延長は出来ない、という条件がありました。これまでは木工用の接着剤(いわゆる白ボンド)で接合していたので夏季に速乾性のものを用いても貼り付けてからそれなりに固まってくる30分くらいは動かすことが出来ませんでした。それでは困ります。初期の固定力の発現がはやい(早く固まる)接着剤は幾つもありますが、スチレンボードと紙をつかった小さな模型しか組立てたことがない学生さんに安全に使って頂けるもの(作業の安全だけではなくシックスクール的な化学物質過敏症にも対応できるもの)を確定するのに手間取りました。結局、接合の手法を見極めるための試作は延べで6台ほどになりました。
 また、選んだ接合の方法に対応するため、今回は初めて材料の切り口(長手の側面)に紙テープを貼り付けて出来るだけ平滑な接着面を確保することも行いました。これにはミューズの水貼りテープを選びまして、学生の頃に気が遠くなるほどの枚数の写真パネルを水貼りしていた経験が意外なところで生かせて感慨深く。

 ダンボール板は昨年末の米子市公会堂シンポジウムでの写真展示のために日段株式会社さんに貼り合わせて頂いた8mm厚の残りと過去の企画で作って頂いた5mm厚の残りを組み合わせました。貼り合わせは懇意にして頂いている「みやざき工芸」さんの工場で家具フラッシュにつかっている本物のプレス機をお借りして行いましたので、これまででいちばん綺麗に貼り上がりました。ご協力ありがとうございます。
 また当日の搬入・搬出と実習中の補助は、いつものようにトミー谷さん(萌え絵師)にお願いしました。cumulusのイベント史上で最も搬入経路が広くて近い現場だと好評でした。普段は止められているというエレベーターまで使わせて頂きました。

 今回のプロジェクトのもう一つ大切な課題は、今後、米子工業高等専門学校さんがcumulusが関わらなくてもこの手法を応用した大きな模型の実習を実施していくための方策を確立するというものでした。
これについては接合方法と授業の時間内での完成は目処がつきましたので、あとは材料の手配からキットを作り上げるまでの下準備をどのようにパターン化するかを模索するところにいます。

 実施の状況については項を改めましょう。

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そうてんせいうん

Author:そうてんせいうん
I...I didn't do it for you ok?!

ご連絡はweb mailでどうぞ: http://form1.fc2.com/form/?id=434253

[準備中]
・「SUOMI CHAIRS」

<プロジェクトのリスト>
「イルマリ・タピオヴァーラ椅子展」 @Style shop. 2005.05.21-06.12
日本国内では見る機会のない作品を含めて全部で25点ほどを展示。

「ヨーロ・クッカプーロと柳原敏彦」 @GREEN WOODS 2005.11.12-13
クッカプーロさんの主要作品20点と柳原敏彦さんの木家具による構成。違う素材なのにデザインの根本で調和しているという妙。

「スオミと足塚由江」 @昭和堂 2006.06.23-25
フィンランドの家具と足塚由江さんのうつわでカフェをしました。

「米来留 いまはもういない」 @夏コミケット 2006.08.12発行
建築家ヴォーリズの失われてしまった作品を追い続けたドキュメント写真集。

「一脚の椅子 フィンユール」 @GREEN WOODS 2006.08.19-20
そこにあるだけで周りの空間を変える力を持つ椅子とは。

「カモナマイオフィス」 @某建て売り住宅 2006.09.16-18
「第二事業部の事務所が新築の住宅に移転する」 としたら?引っ越し系インスタレーション。

「1000脚の椅子」
工場の倉庫に眠る約1000脚の未完成の椅子を教材として活用しようという企画。
派生企画:智頭農林高校 学習成果展示 / 島根女子短大 Re:Chair展
 
「北欧の椅子と家具展」 @SOUKA-草花- 2006.12.08-11
古いビルのレストアされたペントハウスに北欧家具でLDを構築するインスタレーション。

「リートフェルトをつくって」 @SOUKA-草花- 2007.06.22-25
Rietveldさんの家具をダンボールで実寸模型に再現するワークショップ。

「机の帰還 」 @glass Onion 2007.07.19~
廃棄される学校机を店舗什器に再生する試み。

「シュレーディンガーの椅子 」 @Store Room 2007.09.07~
学校のようなお店に学校の椅子を納める。

「いまはもういない、のこと」 @夏コミケット 2007.08.19発行
ヴォーリズ建築の取材過程を記録したテキスト。

「キャンの岬はどっちですか。」@souka 07.11.17-18
「祈りの椅子」のプロトタイプに座ってみる。

「そしていまはもういない予告編」 @冬コミケット 2007.12.29

「そして、いまはもういない。」 @夏コミケット 2008.08.17
ヴォーリズ建築で失われて痕跡の儚いもの達。

「一脚の椅子 イルマリ・タピオヴァーラ」@「淀江の家」グラムデザイン 2008.10.04-05
ピルッカスツールを展示。

「いまはもういない、祈り」@冬コミケット 2008.12.30
キリスト教関係のヴォーリズ建築で知られざるもの達。

「古い家を借りて自分で直したら大きな黒板のある家ができた。ワタシの(^^)」@黒板亭 2008.03.--2009.04
廃屋寸前の賃貸住宅を順調に時を経たかのようにレストア。

「蒼天青雲 in 関西」@そうさく畑63 2009.04.05
既刊を関西地区で初配布。 山Dさんもお誘いして。

「ヴォーリズさんを探しに行った日々について」 2009.=
蒼天青雲にとっての「建築の保存」について話す。

「旧豊郷小学校写真集」@夏コミケット 2009.08.16
豊郷小学校=桜ヶ丘高校という繋がりと広がり。

ヴォーリズ建築文化全国ネットワーク第3回全国大会@近江八幡 2009.10.11
ヴォーリズファンしか居ない場によばれてヴォーリズさんの写真集を配布。

「みどりのはら」「近代残像 函館」「近代残像 長崎」@冬コミケット 2009.12.30
阿佐ヶ谷住宅へのオマージュ。函館と長崎、北と南の洋館が並ぶ港街。

「近代残像 京都」@コミティア92 2010.05.04
前世紀末の京都の町中における近代建築を紹介。

「米子市公会堂」 2010.07.15 +コミケット78
山陰に置かれた村野藤吾さんのグランドピアノについて。

「近代残像 神戸」@コミケット78 2010.08.15
神戸にある近代建築の様々な残り方と消え方。

「近代残像 湘南・箱根」@コミケット79 2010.12.31
太平洋に面して残る関東地方を取り巻いていた別荘地帯の痕跡。

「さくらはさく」@コミティア96 2011.05.05
千葉県浦安市の埋め立て地に咲く桜の花。

「マーリをつくって」@米子高等工業専門学校 2011.07.21
ダンボールで実物x0.8スケールの家具模型をつくる実習授業。

「近代残像 横浜」@コミケット80 2011.08.14
横浜で暮らした日々における近代建築との交わり。

「きらめけ!公会堂」@米子市公会堂 2011.10.21-23
写真集「米子市公会堂」を元にwebと連動したインスタレーションを実施。

「SUOMI CHAIR DESIGN 01. Alvar Aalto」 @コミティア98 2011.10.30
フィンランドの椅子デザインについて。

[以降、続いています


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