上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


 東京の冬夕暮れは早くて17時を過ぎると真っ暗です。帰りの電車は22時ですから、あと5時間。映画かご飯かと迷いながらJRの有楽町で降りました。マリオンへ向かいましたが見てみたい映画は上映時間が合わず。それではと数寄屋橋から4丁目の交差点へ歩きます。
意外と人影があるのに既に閉まっているお店が多くて街が暗いです。
 4丁目の交差点、行き先はご飯となれば決まったようなもので左に曲がって銀座通りR15を新橋方面へ向かいます。途中、路肩に中国語が書かれた派手な色合いの観光バスが何台も止まり、大きな紙袋を下げ中国語で話し合う集団とすれ違いました。
 そして辿り着いたのは銀座7丁目ライオン。店内も空いていて、二人組み位のお客さんが殆どでした。入り口左手の壁際に通されます。
DCP_4587.jpg 真正面に麦畑とビール工場のタイル絵。床のモザイクタイルもよく見えます。
周りの席は一人のお客さんばかり。
久しぶりにビールを(サッポロビールのフラッグシップなビアホールですから)
そしてウエイターさんの薦められるものをポツリぽつりとお願いしていきました。

 左の2席にお客さんが通されました。真横に座られたのはファンケルの大きな紙袋を持たれた女性。その隣は20代後半位の男女。
 隣の女性はどうやら日本語が分からないようで、またホールのスタッフの英語へも反応が薄い。女性がふと漏らした言葉に隣の男女が反応され、広義の中国語への通訳がされました。
 オーダーをし終えた女性は背筋を伸ばして「わたしは上海から来た」と英語で自己紹介をされました。隣の男女のうち女性は台湾の出身で、男性は上海でも仕事をしているクリエーターだとやはり英語で自己紹介していました。大きな声のやり取りが続き、最後に「では上海で会いましょう」とファンケルの大きな袋を肩にかけて席を立たれました。まるでそこだけ中国の酒場のように、テーブルの上と足元にゴミが散乱した席が残りました。
 そういえば中国ではファンケルの化粧品が人気で、お試しキットがお土産として喜ばれていると聞きました。

 その後、刺し子の火消し半纏をまとった大柄な方々が幾人が来られて、ホールのカウンター前に陣取りあれやこれやをご自分でされていました。ホールのスタッフの皆さんもそれを気にすることなく自由にしてもらっている風でした。暫くするとホール内を一巡されて方々で挨拶をされています。その後一斉に席を立たれました。

 年越し蕎麦を食べて私も席を立ちました。

 店を出て斜め向かいを見ると人が集まっています。
何事かと行ってみると、餅つきでした。大晦日の銀座の歩道で餅つき?
DCP_4589.jpg これは和装店の「銀座くのや」さんが毎年されている「大晦日 餅つき大会」という行事でした。
樽酒も振舞われ、見れば先ほどライオンでお見かけした火消し半纏の皆様もいらっしゃいました。銀座の地元衆の方々だったようです。
そして先ほどまでホールにいらしたウエイトレスの皆様も。
 観衆の対応をされている社員の方にお話を聞くと、この餅つきは今回で50回目。これを節目に休止されるそうです。
始められた頃は「今となっては想像できないかもしれませんが」銀座といえども大晦日の夜には明かりが消えて真っ暗だったそうで「銀座の大晦日の夜に明かりを灯したい」と店主の発案で始められたそうです。以降50年間、お店の社員さん達の手で餅つきが続いてきたとか。
 時々、杵を見学されている外国人の方にも渡して餅をつき、最後に杵を手にされたのは日本人に見えたのですが、これもまた中国語を話される方でした。
 つき上がった餅は観客に振舞われ、ですがとても人気がありお相伴は回ってこないなと思っていましたら、先ほどの社員の方から最後の一皿を戴きました。その方のお話ぶり、対応などとても気持ちがよく爽やかなのが印象に残ったので検索しましたら「銀座くのや」八代目 菊地健容さんのインタビュー記事を見つけました。なるほどと思いましたね。
 輝くリーダー「銀座くのや」八代目 菊地健容氏
DCP_4583.jpg 最後の1臼がつき上がると半纏姿の方々は三本締めをきめて、すうっと解散されました。人だかりも消えていきます。
わたしも晴れた冬空の下を東京駅へと歩いて向かいます。
 ショーウインドーにだけ明かりの入っているお店の続く道はまだ20時過ぎだというのに人影も少なく、客待ちをあきらめたかのようなタクシーだけが路肩に並んでいます。4ヶ月ぶりの銀座は年末年始かつ大晦日だということを差し引いても何も変わっていないように見えました。立ち止まってはいなくとも、歩みが遅くなっている、そんな感じです。

 東京では日常においても中国あるいはアジア圏との商交流が無視できないところにまで来ているのだと感じました。それは現状の日本が先に進む、あるいは現状を維持するための条件なのだろうなとも。バブルの頃に海外でモノを買いまくった日本が、その経験を生かせる時が来たのかもしれませんね。
 先ほどの銀座の老舗たち、果たしてあれに勝る平等な接客というものが世界にあるだろうかと考えれば、それもまた中国を含むアジア圏から銀座へ人が集まってくる理由なのかもしれないとも思いました。

 良い大晦日でした。

COMMENT FORM

Display is administrator only

 

RECENT ENTRYS

カテゴリー

このブログを検索

RSSフィード

プロフィール

そうてんせいうん

Author:そうてんせいうん
I...I didn't do it for you ok?!

ご連絡はweb mailでどうぞ: http://form1.fc2.com/form/?id=434253

[準備中]
・「SUOMI CHAIRS」

<プロジェクトのリスト>
「イルマリ・タピオヴァーラ椅子展」 @Style shop. 2005.05.21-06.12
日本国内では見る機会のない作品を含めて全部で25点ほどを展示。

「ヨーロ・クッカプーロと柳原敏彦」 @GREEN WOODS 2005.11.12-13
クッカプーロさんの主要作品20点と柳原敏彦さんの木家具による構成。違う素材なのにデザインの根本で調和しているという妙。

「スオミと足塚由江」 @昭和堂 2006.06.23-25
フィンランドの家具と足塚由江さんのうつわでカフェをしました。

「米来留 いまはもういない」 @夏コミケット 2006.08.12発行
建築家ヴォーリズの失われてしまった作品を追い続けたドキュメント写真集。

「一脚の椅子 フィンユール」 @GREEN WOODS 2006.08.19-20
そこにあるだけで周りの空間を変える力を持つ椅子とは。

「カモナマイオフィス」 @某建て売り住宅 2006.09.16-18
「第二事業部の事務所が新築の住宅に移転する」 としたら?引っ越し系インスタレーション。

「1000脚の椅子」
工場の倉庫に眠る約1000脚の未完成の椅子を教材として活用しようという企画。
派生企画:智頭農林高校 学習成果展示 / 島根女子短大 Re:Chair展
 
「北欧の椅子と家具展」 @SOUKA-草花- 2006.12.08-11
古いビルのレストアされたペントハウスに北欧家具でLDを構築するインスタレーション。

「リートフェルトをつくって」 @SOUKA-草花- 2007.06.22-25
Rietveldさんの家具をダンボールで実寸模型に再現するワークショップ。

「机の帰還 」 @glass Onion 2007.07.19~
廃棄される学校机を店舗什器に再生する試み。

「シュレーディンガーの椅子 」 @Store Room 2007.09.07~
学校のようなお店に学校の椅子を納める。

「いまはもういない、のこと」 @夏コミケット 2007.08.19発行
ヴォーリズ建築の取材過程を記録したテキスト。

「キャンの岬はどっちですか。」@souka 07.11.17-18
「祈りの椅子」のプロトタイプに座ってみる。

「そしていまはもういない予告編」 @冬コミケット 2007.12.29

「そして、いまはもういない。」 @夏コミケット 2008.08.17
ヴォーリズ建築で失われて痕跡の儚いもの達。

「一脚の椅子 イルマリ・タピオヴァーラ」@「淀江の家」グラムデザイン 2008.10.04-05
ピルッカスツールを展示。

「いまはもういない、祈り」@冬コミケット 2008.12.30
キリスト教関係のヴォーリズ建築で知られざるもの達。

「古い家を借りて自分で直したら大きな黒板のある家ができた。ワタシの(^^)」@黒板亭 2008.03.--2009.04
廃屋寸前の賃貸住宅を順調に時を経たかのようにレストア。

「蒼天青雲 in 関西」@そうさく畑63 2009.04.05
既刊を関西地区で初配布。 山Dさんもお誘いして。

「ヴォーリズさんを探しに行った日々について」 2009.=
蒼天青雲にとっての「建築の保存」について話す。

「旧豊郷小学校写真集」@夏コミケット 2009.08.16
豊郷小学校=桜ヶ丘高校という繋がりと広がり。

ヴォーリズ建築文化全国ネットワーク第3回全国大会@近江八幡 2009.10.11
ヴォーリズファンしか居ない場によばれてヴォーリズさんの写真集を配布。

「みどりのはら」「近代残像 函館」「近代残像 長崎」@冬コミケット 2009.12.30
阿佐ヶ谷住宅へのオマージュ。函館と長崎、北と南の洋館が並ぶ港街。

「近代残像 京都」@コミティア92 2010.05.04
前世紀末の京都の町中における近代建築を紹介。

「米子市公会堂」 2010.07.15 +コミケット78
山陰に置かれた村野藤吾さんのグランドピアノについて。

「近代残像 神戸」@コミケット78 2010.08.15
神戸にある近代建築の様々な残り方と消え方。

「近代残像 湘南・箱根」@コミケット79 2010.12.31
太平洋に面して残る関東地方を取り巻いていた別荘地帯の痕跡。

「さくらはさく」@コミティア96 2011.05.05
千葉県浦安市の埋め立て地に咲く桜の花。

「マーリをつくって」@米子高等工業専門学校 2011.07.21
ダンボールで実物x0.8スケールの家具模型をつくる実習授業。

「近代残像 横浜」@コミケット80 2011.08.14
横浜で暮らした日々における近代建築との交わり。

「きらめけ!公会堂」@米子市公会堂 2011.10.21-23
写真集「米子市公会堂」を元にwebと連動したインスタレーションを実施。

「SUOMI CHAIR DESIGN 01. Alvar Aalto」 @コミティア98 2011.10.30
フィンランドの椅子デザインについて。

[以降、続いています


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。