山形さんへ結果のあらましをお伝えしたところ、話を聞く時間をつくるので大阪まで出てきませんか、という話になりました。
94年10月23日(土)曇り
大阪市内某所、喫茶店13:00。
全国悉皆調査の結果をお伝えするため山形さんとお会いしました。
このときにピアソン邸の写真もお渡ししました。ピアソン邸と同時期に建てられたヴォーリズさんによる住宅の写真資料と見比べると外壁・屋根と窓との位置関係・比例関係がとても良く似ていると申し添えました。
後日。ピアソン邸の件で山形さんから電話を頂きました。
job.8543 Piason Res. の図面を見たところ、全体としてはそっくりの建物が描かれている、というお話でした。
その上で山形さんは「写真で見る限り建築時期に比べて新しすぎる印象がある」と仰るので、ピアソン邸は旭川の人たちに大切にされてきた建物で70年代には既に保存作業が行われており、自分が見たこの7年の間になんら変化が感じられない程しっかりとした管理がされているからそのように写真に写るだけであって、現場で見ると時代に見合った経年を感じると伝えました。
その後で、驚いたことに山形さんの方からこの物件がヴォーリズさんの建物である可能性についてどう思うかと訊ねられました。(こちらは学術研究者ではありませんのでそのような判断をすることも求められることも通常はありません)おそらくかなり迷われていたのだと思います。
「間違いないと思います」と即答し、見に行って下さいとお願いしました。
そのとき山形さんは「行って実際に見てみたいが、あまりにも場所が遠い」と仰っていました。
翌年、1995年に日本建築学会の全国大会が札幌で開催されることになりました。
ある夜、山形さんからお電話がありました。札幌での大会に行くので、この機会に北見のピアソン邸を見に行ってみようと思うのだが、というお話でした。
それを聞いて即座に「行って下さい」とお願いしました。
「北見のピアソン邸を見てきました。本物でしたよ。」と山形さんからお電話を頂いたのは、北海道から帰られてすぐの頃でした。