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 唐突ですが「実物大ワークショップ(WS)」の実施を終えました。

 会場は米子工業高等専門学校の建築学科2年次生のデザイン基礎という科目の授業中、というわけで参加したのはすべて学生さんでした。総勢38名。cumulusの企画としては「1000脚の椅子」に次ぐ規模になります。
予想外の大好評で、実習に立ち会った私も改めて学ぶところがありました。
みなさん、お付き合い頂いてありがとうございます。

実施の経緯など。

 Daneseの製品などで知られるプロダクトデザイナーのEnzo Mariさん。近年では無印良品の家具とか、飛騨産業杉圧縮材を使った家具などで作風を知ることができます。
 この方が1974年に発表したプロジェクト[autoprogettazione?]は、長さを切った板材と釘を使って出来るだけ簡単に家具を組立てるといったテーマで、G.Th.リートフェルトさんの[Crate Furniture]に近い発想と構成です。[Crate Furniture]と[autoprogettazione?]の構成(構造)でいちばん大きな違いは、[autoprogettazione?]には斜め材が積極的に取り入れられてトラス構造的な力の逃がし方をしながら全体のデザインに生かしている点でしょう。これが1930年代に発表された[Crate Furniture]から1970年代の[autoprogettazione?]への進化(イノベーション)だと考えられます。
 [autoprogettazione?]の図面集が未だに手に入る(よくよく探せば)と知ったのが昨年の年明け頃で手元にやって来たのは4月頃だったでしょうか。その前年の秋、スペインで発行されている[apartamento]にエンツォ・マーリさんへのインタビュー記事が掲載されていました。この取材はミラノにある仕事場で行われたようで、ご自身のポートレイトでバックにときどき写っている白いメラミン化粧板張り(おそらく)の天板をもつ大きめの机の全体写真も載せられていました。よく見ると、一番大きな天板を支えている脚がちょっと変わっているのに気がつきました。これはなにかなぁと思っていましたが、実は[autoprogettazione?]のひとつ、1123XI TAVOLO QUADRATO だったのです。
 もしかすると40年近く前に発表した試行を本人が未だに使って試しているのか?
作者がそこまで思いをいれる[autoprogettazione?]って一体なんだろう?、これが私が抱いた最大の興味でした。
 ひとまずテーブル脚とか椅子を幾つか作り、実際に使ってみました。それを通して、この図面集で実物大のダンボール家具模型をつくるWSを実施しようと思わせる何かを感じてしまったわけです。その理由は、必要最小限のことしか書き込まれていないのに作り手につたえるべき全てを盛り込んだ基本設計図(デザイン画)であったこと、ほぼ全ての構成材料がある一定の長さの材料から無駄なく切りだせること、実際に組上げたときにデザイン画を越えた驚きがあったこと、でした。これらのことは図面を見ながらキットを組立てるだけでも追体験できるとも感じました。

 この企画は昨年の春に思いついて梅雨入り前に一般向けで実施しようと考えていたが、米子市公会堂の冊子を優先したために1年繰り越された、というのは以前にも書きました。1年経ってみて、これを実施するのに最適な場所はどこだろうと考えたところ、「1000脚の椅子」と「リートフェルトをつくって」の時のことを思い出しました。
 cumulusの地元にある米子工業高等専門学校さんは「1000脚の椅子」に興味を持たれましたが断念をされました。実は木を加工する道具も場所もかなり限られて実習に支障があるレベルだとその時知りました(当時のことです、現状は把握していませんがスギの間伐材でベンチを作ったりする実習があるそうなので改善されているのかも知れません)
翌年、「リートフェルトをつくって」のDMを米子工業高等専門学校さんにもお送りしたところ、4名の学生さんが道もわからない松江の街にある知っている人しか辿り着けないようなギャラリーまでわざわざ来られて、小さな椅子を作って帰って行かれました。
 ああ、そういえば米子工業高等専門学校さんは何度もお声がけをしたけれど実質あの1度しか接点がなかったなぁ、ダンボールの組み立てキットで家具模型を作るのなら設備がない普通の講義室でも大丈夫だなぁ、などと思いながら同校の准教授をつとめていらっしゃる建築家のタカマスヨシコさんに話を持ち込みました。すると数ヶ月後にデザインの授業で家具の設計課題を出そうとされていたようで、ではそれに組み込んでみましょうかと話が進みました。
 ただし、授業時間が90分ほど、しかも朝いちばんなので時間の延長は出来ない、という条件がありました。これまでは木工用の接着剤(いわゆる白ボンド)で接合していたので夏季に速乾性のものを用いても貼り付けてからそれなりに固まってくる30分くらいは動かすことが出来ませんでした。それでは困ります。初期の固定力の発現がはやい(早く固まる)接着剤は幾つもありますが、スチレンボードと紙をつかった小さな模型しか組立てたことがない学生さんに安全に使って頂けるもの(作業の安全だけではなくシックスクール的な化学物質過敏症にも対応できるもの)を確定するのに手間取りました。結局、接合の手法を見極めるための試作は延べで6台ほどになりました。
 また、選んだ接合の方法に対応するため、今回は初めて材料の切り口(長手の側面)に紙テープを貼り付けて出来るだけ平滑な接着面を確保することも行いました。これにはミューズの水貼りテープを選びまして、学生の頃に気が遠くなるほどの枚数の写真パネルを水貼りしていた経験が意外なところで生かせて感慨深く。

 ダンボール板は昨年末の米子市公会堂シンポジウムでの写真展示のために日段株式会社さんに貼り合わせて頂いた8mm厚の残りと過去の企画で作って頂いた5mm厚の残りを組み合わせました。貼り合わせは懇意にして頂いている「みやざき工芸」さんの工場で家具フラッシュにつかっている本物のプレス機をお借りして行いましたので、これまででいちばん綺麗に貼り上がりました。ご協力ありがとうございます。
 また当日の搬入・搬出と実習中の補助は、いつものようにトミー谷さん(萌え絵師)にお願いしました。cumulusのイベント史上で最も搬入経路が広くて近い現場だと好評でした。普段は止められているというエレベーターまで使わせて頂きました。

 今回のプロジェクトのもう一つ大切な課題は、今後、米子工業高等専門学校さんがcumulusが関わらなくてもこの手法を応用した大きな模型の実習を実施していくための方策を確立するというものでした。
これについては接合方法と授業の時間内での完成は目処がつきましたので、あとは材料の手配からキットを作り上げるまでの下準備をどのようにパターン化するかを模索するところにいます。

 実施の状況については項を改めましょう。

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そうてんせいうん

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[準備中]
・「SUOMI CHAIRS」

<プロジェクトのリスト>
「イルマリ・タピオヴァーラ椅子展」 @Style shop. 2005.05.21-06.12
日本国内では見る機会のない作品を含めて全部で25点ほどを展示。

「ヨーロ・クッカプーロと柳原敏彦」 @GREEN WOODS 2005.11.12-13
クッカプーロさんの主要作品20点と柳原敏彦さんの木家具による構成。違う素材なのにデザインの根本で調和しているという妙。

「スオミと足塚由江」 @昭和堂 2006.06.23-25
フィンランドの家具と足塚由江さんのうつわでカフェをしました。

「米来留 いまはもういない」 @夏コミケット 2006.08.12発行
建築家ヴォーリズの失われてしまった作品を追い続けたドキュメント写真集。

「一脚の椅子 フィンユール」 @GREEN WOODS 2006.08.19-20
そこにあるだけで周りの空間を変える力を持つ椅子とは。

「カモナマイオフィス」 @某建て売り住宅 2006.09.16-18
「第二事業部の事務所が新築の住宅に移転する」 としたら?引っ越し系インスタレーション。

「1000脚の椅子」
工場の倉庫に眠る約1000脚の未完成の椅子を教材として活用しようという企画。
派生企画:智頭農林高校 学習成果展示 / 島根女子短大 Re:Chair展
 
「北欧の椅子と家具展」 @SOUKA-草花- 2006.12.08-11
古いビルのレストアされたペントハウスに北欧家具でLDを構築するインスタレーション。

「リートフェルトをつくって」 @SOUKA-草花- 2007.06.22-25
Rietveldさんの家具をダンボールで実寸模型に再現するワークショップ。

「机の帰還 」 @glass Onion 2007.07.19~
廃棄される学校机を店舗什器に再生する試み。

「シュレーディンガーの椅子 」 @Store Room 2007.09.07~
学校のようなお店に学校の椅子を納める。

「いまはもういない、のこと」 @夏コミケット 2007.08.19発行
ヴォーリズ建築の取材過程を記録したテキスト。

「キャンの岬はどっちですか。」@souka 07.11.17-18
「祈りの椅子」のプロトタイプに座ってみる。

「そしていまはもういない予告編」 @冬コミケット 2007.12.29

「そして、いまはもういない。」 @夏コミケット 2008.08.17
ヴォーリズ建築で失われて痕跡の儚いもの達。

「一脚の椅子 イルマリ・タピオヴァーラ」@「淀江の家」グラムデザイン 2008.10.04-05
ピルッカスツールを展示。

「いまはもういない、祈り」@冬コミケット 2008.12.30
キリスト教関係のヴォーリズ建築で知られざるもの達。

「古い家を借りて自分で直したら大きな黒板のある家ができた。ワタシの(^^)」@黒板亭 2008.03.--2009.04
廃屋寸前の賃貸住宅を順調に時を経たかのようにレストア。

「蒼天青雲 in 関西」@そうさく畑63 2009.04.05
既刊を関西地区で初配布。 山Dさんもお誘いして。

「ヴォーリズさんを探しに行った日々について」 2009.=
蒼天青雲にとっての「建築の保存」について話す。

「旧豊郷小学校写真集」@夏コミケット 2009.08.16
豊郷小学校=桜ヶ丘高校という繋がりと広がり。

ヴォーリズ建築文化全国ネットワーク第3回全国大会@近江八幡 2009.10.11
ヴォーリズファンしか居ない場によばれてヴォーリズさんの写真集を配布。

「みどりのはら」「近代残像 函館」「近代残像 長崎」@冬コミケット 2009.12.30
阿佐ヶ谷住宅へのオマージュ。函館と長崎、北と南の洋館が並ぶ港街。

「近代残像 京都」@コミティア92 2010.05.04
前世紀末の京都の町中における近代建築を紹介。

「米子市公会堂」 2010.07.15 +コミケット78
山陰に置かれた村野藤吾さんのグランドピアノについて。

「近代残像 神戸」@コミケット78 2010.08.15
神戸にある近代建築の様々な残り方と消え方。

「近代残像 湘南・箱根」@コミケット79 2010.12.31
太平洋に面して残る関東地方を取り巻いていた別荘地帯の痕跡。

「さくらはさく」@コミティア96 2011.05.05
千葉県浦安市の埋め立て地に咲く桜の花。

「マーリをつくって」@米子高等工業専門学校 2011.07.21
ダンボールで実物x0.8スケールの家具模型をつくる実習授業。

「近代残像 横浜」@コミケット80 2011.08.14
横浜で暮らした日々における近代建築との交わり。

「きらめけ!公会堂」@米子市公会堂 2011.10.21-23
写真集「米子市公会堂」を元にwebと連動したインスタレーションを実施。

「SUOMI CHAIR DESIGN 01. Alvar Aalto」 @コミティア98 2011.10.30
フィンランドの椅子デザインについて。

[以降、続いています


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