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 さて実習は終わりました。

 組み上がった模型は大きなものでは人の背丈ほどの寸法がありますので、ほかの教科と共用している教室には置いておけません。この教室は「実習室」ではなく「一般教科教室」で、実習が終わると同時にドイツ語の教科書を持った生徒さんと入れ替わりました。というわけで、授業の残り30分ほどは同じ階にある学生共有スペースへ模型を移動して仮置き、そこで講評となりました。
生徒さん達は騒然としたいましたが、高増准教授に言われてワタクシもこの実習で託した思いから幾つかを生徒さんに伝えました。

限られた寸法の材料を切った微かな容積の部品を組立てると、こんな大きさの立体が作れてしまうこと。
 初めてこのくらいの大きさで家具の紙模型を作ると「こんなにでかいのに立ってる!」という当たり前だけど想像外の事態に感激します。今回もユニット毎に組立てた部品を組み合わせて立体が立ち上がると驚きの声が上がっていました。
「立つように考えて作れば立つ」そして「危うい関係の上でモノは立っている」の2つのバランスを感じて欲しくて、現場でこの感覚を忘れたときにモノが壊れたり落ちたりします。

斜材を組み込んで三角形を作ることで力の流れを調整していること、それが意匠にもなっていること。
 この図面集に収録された家具をつくる意味のひとつがこれだと考えています。
家具は箱型と板と棒で四角四面に出来ているモノという感覚は特にユニークな家でくらさない限り身についているでしょう。でも表に見えない部分などに斜材あるいは形を安定させる部材といった、力の流れを調整している部品が隠れていることも多いわけです。
そんな様々な力の流れを調整する手法の原型(アイデア)が、これらの家具には溢れています。そして全ての解決策は材料の厚みと幅に基づいたルールで統一され、意匠として表面にあらわれて家具の姿を決めています。それをモノの品質と品位を高めるまでに統合しつつ、接合の考え方はもっとも簡素な手法を選んでいるこれらの家具は、それぞれ「たったひとつの解答」に辿り着くところまで練り上げられています。
 これらを真似ても、ここから容易に発展できるような解答ではありませんが、それを作ってみて確かめる行為には大きな意味があると考えています。

木の板を釘で繋ぐことを想定してデザイナーが描いた基本設計図(デザイン画)を、材料と接合の仕様を変えてデザイナーの意図した通りに作り上げるには、それに見合った工夫と解決策を見いだす必要があること。
 工業高等専門学校という第一線へ技術者を送り出すための教育機関で行われる授業の中で、このワークショップを実施する最大の意味はここにあると考えていました。素材の選択、接合する手法の選択、基本設計(意匠と性能)の実現(達成)、という円環は技術者として生きていく上で一生ついてきます。基本設計(デザイン図)と実施設計(つくる図)との関係に気がついてもらえたらなぁと。
材料がダンボールだからといって「紙は貼ればくっつく」といった感覚では形にならないことは、やってみてわかったと思います。紙は木よりも湿度と温度の変化にも敏感なので雨が降れば反り、晴れればまた反ります。接合に用いる材料によっては真夏の気温で緩んでしまう。これらの模型も展示しているうちに少しずつ壊れていくはず。「1000脚の椅子」は実習で自分が完成させた椅子を実際に使って見て欲しい、というのも課題のひとつでした。今回はおそらくこれから壊れていく紙模型をいかに修復するかを考えて頂くことでその代わりとしたいのです。模型と実物の間にある隔たりとか、試作で試行錯誤を重ねて実作へ繋げる過程とかも感じて欲しいところです。

といった話をしましたら、水を打ったように静まった生徒さん達が鋭いガンを飛ばしてきて、ワタクシまずいこと言ってますか?感に包まれてしまいました。

 じゃあそれって何なのよ?については項を改めます。

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そうてんせいうん

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[準備中]
・「SUOMI CHAIRS」

<プロジェクトのリスト>
「イルマリ・タピオヴァーラ椅子展」 @Style shop. 2005.05.21-06.12
日本国内では見る機会のない作品を含めて全部で25点ほどを展示。

「ヨーロ・クッカプーロと柳原敏彦」 @GREEN WOODS 2005.11.12-13
クッカプーロさんの主要作品20点と柳原敏彦さんの木家具による構成。違う素材なのにデザインの根本で調和しているという妙。

「スオミと足塚由江」 @昭和堂 2006.06.23-25
フィンランドの家具と足塚由江さんのうつわでカフェをしました。

「米来留 いまはもういない」 @夏コミケット 2006.08.12発行
建築家ヴォーリズの失われてしまった作品を追い続けたドキュメント写真集。

「一脚の椅子 フィンユール」 @GREEN WOODS 2006.08.19-20
そこにあるだけで周りの空間を変える力を持つ椅子とは。

「カモナマイオフィス」 @某建て売り住宅 2006.09.16-18
「第二事業部の事務所が新築の住宅に移転する」 としたら?引っ越し系インスタレーション。

「1000脚の椅子」
工場の倉庫に眠る約1000脚の未完成の椅子を教材として活用しようという企画。
派生企画:智頭農林高校 学習成果展示 / 島根女子短大 Re:Chair展
 
「北欧の椅子と家具展」 @SOUKA-草花- 2006.12.08-11
古いビルのレストアされたペントハウスに北欧家具でLDを構築するインスタレーション。

「リートフェルトをつくって」 @SOUKA-草花- 2007.06.22-25
Rietveldさんの家具をダンボールで実寸模型に再現するワークショップ。

「机の帰還 」 @glass Onion 2007.07.19~
廃棄される学校机を店舗什器に再生する試み。

「シュレーディンガーの椅子 」 @Store Room 2007.09.07~
学校のようなお店に学校の椅子を納める。

「いまはもういない、のこと」 @夏コミケット 2007.08.19発行
ヴォーリズ建築の取材過程を記録したテキスト。

「キャンの岬はどっちですか。」@souka 07.11.17-18
「祈りの椅子」のプロトタイプに座ってみる。

「そしていまはもういない予告編」 @冬コミケット 2007.12.29

「そして、いまはもういない。」 @夏コミケット 2008.08.17
ヴォーリズ建築で失われて痕跡の儚いもの達。

「一脚の椅子 イルマリ・タピオヴァーラ」@「淀江の家」グラムデザイン 2008.10.04-05
ピルッカスツールを展示。

「いまはもういない、祈り」@冬コミケット 2008.12.30
キリスト教関係のヴォーリズ建築で知られざるもの達。

「古い家を借りて自分で直したら大きな黒板のある家ができた。ワタシの(^^)」@黒板亭 2008.03.--2009.04
廃屋寸前の賃貸住宅を順調に時を経たかのようにレストア。

「蒼天青雲 in 関西」@そうさく畑63 2009.04.05
既刊を関西地区で初配布。 山Dさんもお誘いして。

「ヴォーリズさんを探しに行った日々について」 2009.=
蒼天青雲にとっての「建築の保存」について話す。

「旧豊郷小学校写真集」@夏コミケット 2009.08.16
豊郷小学校=桜ヶ丘高校という繋がりと広がり。

ヴォーリズ建築文化全国ネットワーク第3回全国大会@近江八幡 2009.10.11
ヴォーリズファンしか居ない場によばれてヴォーリズさんの写真集を配布。

「みどりのはら」「近代残像 函館」「近代残像 長崎」@冬コミケット 2009.12.30
阿佐ヶ谷住宅へのオマージュ。函館と長崎、北と南の洋館が並ぶ港街。

「近代残像 京都」@コミティア92 2010.05.04
前世紀末の京都の町中における近代建築を紹介。

「米子市公会堂」 2010.07.15 +コミケット78
山陰に置かれた村野藤吾さんのグランドピアノについて。

「近代残像 神戸」@コミケット78 2010.08.15
神戸にある近代建築の様々な残り方と消え方。

「近代残像 湘南・箱根」@コミケット79 2010.12.31
太平洋に面して残る関東地方を取り巻いていた別荘地帯の痕跡。

「さくらはさく」@コミティア96 2011.05.05
千葉県浦安市の埋め立て地に咲く桜の花。

「マーリをつくって」@米子高等工業専門学校 2011.07.21
ダンボールで実物x0.8スケールの家具模型をつくる実習授業。

「近代残像 横浜」@コミケット80 2011.08.14
横浜で暮らした日々における近代建築との交わり。

「きらめけ!公会堂」@米子市公会堂 2011.10.21-23
写真集「米子市公会堂」を元にwebと連動したインスタレーションを実施。

「SUOMI CHAIR DESIGN 01. Alvar Aalto」 @コミティア98 2011.10.30
フィンランドの椅子デザインについて。

[以降、続いています


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