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 実習を始めて気がついたのは、図面の読図についてかなりの訓練されていて、誰もの能力が高いことです。5年過程で(おそらくは)技術者として社会に出てからの分野に合わせた専門教育に細分される以前の2年次生が、小さなノンスケールの図面からしっかりとポイントを読み取ってくるんだなぁと感心しつつ、同い年の頃に元女学校でひたすら遊び惚けていた自分を思い出したり。また実習グループの組み方も秀逸で、おそらくはお互いのモノの好みと得意なコトとの補完を考えながら相手を選んでいるように見えました。
中学生の頃から「建築に関わる一線の技術者になる」という同じ生き方を選んで集う人達の心づもり(というか決心)はなんとも迫力あるな、とも感じました。

 そんな中でも各人のモノゴトを進める方法には大きく違いがあって、小さな図面からキッチリと寸法を割り出し墨付けしては部品を仮組する人がいれば、図面をHRへ忘れて取りに帰り10分ちかく遅刻+残った一人が同じ図面を選んだ隣のグループがどうやって作っているかを注視+チームが全員揃ったのは更にその後+図面を読む役が特定部品にセンター墨が描かれていないことの意味を追及している横で実際に組み立てる役はワタクシと視線が合うと「ここどうする」「・・・(これでどうよ)」とディスカッションに引きずり込んで一緒になってアーでもない/コーでもない「はい、そのアイデア頂きました!」などと言いながら結局は図面に曖昧にしか指示されていない部分を独自の解釈でクリアして(その結果このチームのテーブル脚は分解できない)指定時間内に最も接合部の強度が高い模型を組み上げ「出来てもふらふらしてたらダメなんだ!」とアジったり、実に楽しかったです。ワタクシが思うに両方とも”正解”です。

 生徒さん達から感じた迫力は、ワタクシが「誰もが実のところ一体何をどこまで教えてもらえるのか把握しきれずに集っている学科で、しかも地元の坊っちゃんお嬢ちゃんの通う私立のミッションスクール」で感じた、個性派ばかりで何でもありでここで何を学ぶのかという全てを自分で編み出さないと前へ進まない専門教育の場との違いなのかもしれないです。
ワタクシのなかで工業高等専門学校の卒業生と言えば、国立Y大学に編入して大学院修士まで修めて(当時は大学院に進むだけでも凄かった)世界中の人々のくらしを支える大型機械を作る仕事に引き抜かれるような、バリバリ勉強してきて・もっともっと勉強して・世界の第一線を切り開く技術エリートのイメージしかなくて(それは女の子が大好きなakbさんですね!)意外なほどそれとのズレは小さかったです。

 あと、最難関の椅子を選んだチームにはもう少しきちんとサポート出来たらよかったかなぁとも。実習で組み立てなかったキットが1セット(もしかすると試作に使うキットにもまだ余りがあるかもしれません)残っているので、定期試験が終わったら高増研究室の室生さん達と感想戦をしてみて下さい。件の椅子は室生さんの試作含めてのべ7台も作ることになりますので、難関の接合部分にもノウハウが蓄積されているはずです。

 というわけで一番楽しかったのはワタクシ、という結論に。

 クムルスが学校の授業で使う実習素材を提供する活動もそれなりに案件を重ねてきました。
 少し話が離れますが、名古屋芸術大学のプロダクトデザイン系の学科が天童木工さんと産学協同して「自分たちが学校でつかう椅子」の開発をした件の発表会に参加したことがあります。そのとき、総責任者の教授が全体講評の冒頭で言われたのは「みんな、指は全部そろっているか?左右10本全部あるか?」でした。これは単なる冗談ではなくて、教育の現場で本物の家具を加工できる電動工具などを使って学生さん自身が実習(試作)をすることで指導者がどのくらい大きなリスクを負うか、を一言で述べたものです。学生さん達は笑っていましたが、先生方と一般招待者はその言葉を真剣に聞いていました。
 「1000脚の椅子」のとき、とある学校の将来的にプロダクトデザインに関わりたい学生さんたちが「ジグソー」という簡易な手元電動工具を使って本物の椅子を加工する実習をしようとした際、学内の会議では実習内容よりも「もし」が起きたときの責任問題が延々と何度となく話し合われたそうです。実習を担当された先生も「時間中に誰かが怪我をしないかと心配で本当に恐かった」と後日教えて下さいました。件の先生は後に自由な実習環境のある学校へと移って行かれました。
 今回の実習素材(キット)を作るにあたって検討しなくてはいけない要件は、初期の固定時間が短い接着剤があるけれど生徒に単独で使わせてもいいか、板同士を貼り合わせる接着剤にシックハウスの指定化学物質が含まれていないか、果ては、ダンボールの表面紙の切断面と平行に手を滑らすと皮膚が切れるがこれをどの様に予防するか、といったものでした。これらは実務に関われば(おそらく)実際に使うであろう素材ばかりです。それでも細心の注意を払って選び、対策を講じて実習に持ち込みました。
 モノつくりの道へ進もうとする人達が、実際にモノつくりの片鱗に触れる機会から遠ざけられつつあるのが実態かもしれません。
 それでも生徒/学生さんに、なにより先生に興味を持ってもらえる教材ネタを提案できないか?というクムルスの試行は、大学をなにか資格を 貰って から出たくて調べたら「職業指導 前期2単位・後期2単位」だけで教育実習なしに高等学校の学校教員免許(工業)が 貰える ことがわかりラッキーラッキーと小躍りして受講申請したがその趣旨は「おまえら免許はやるから現場実務のことを学校の教室へ持ち帰ってこい」だったと知りこんなバブルの最中にそんなコトを本気で考えてるお役人さんがこの国にいるのだと感慨深かったことに起因します。そして、センターラインを逸脱したなんちゃって技術者にも出来ることがありそうだったので「やってみた」というのが真相です。
 おそらく、クムルスがこういった企画を直接に実施することはもうないでしょう。
これまで協力して下さったさまざまな皆様、ありがとうございました。

 最後になりましたがエンツォ・マーリさんがHIDAのショールーム(東京、表参道)でインタビューを受けているビデオをご紹介します。是非、最後までご覧下さい。

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そうてんせいうん

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[準備中]
・「SUOMI CHAIRS」

<プロジェクトのリスト>
「イルマリ・タピオヴァーラ椅子展」 @Style shop. 2005.05.21-06.12
日本国内では見る機会のない作品を含めて全部で25点ほどを展示。

「ヨーロ・クッカプーロと柳原敏彦」 @GREEN WOODS 2005.11.12-13
クッカプーロさんの主要作品20点と柳原敏彦さんの木家具による構成。違う素材なのにデザインの根本で調和しているという妙。

「スオミと足塚由江」 @昭和堂 2006.06.23-25
フィンランドの家具と足塚由江さんのうつわでカフェをしました。

「米来留 いまはもういない」 @夏コミケット 2006.08.12発行
建築家ヴォーリズの失われてしまった作品を追い続けたドキュメント写真集。

「一脚の椅子 フィンユール」 @GREEN WOODS 2006.08.19-20
そこにあるだけで周りの空間を変える力を持つ椅子とは。

「カモナマイオフィス」 @某建て売り住宅 2006.09.16-18
「第二事業部の事務所が新築の住宅に移転する」 としたら?引っ越し系インスタレーション。

「1000脚の椅子」
工場の倉庫に眠る約1000脚の未完成の椅子を教材として活用しようという企画。
派生企画:智頭農林高校 学習成果展示 / 島根女子短大 Re:Chair展
 
「北欧の椅子と家具展」 @SOUKA-草花- 2006.12.08-11
古いビルのレストアされたペントハウスに北欧家具でLDを構築するインスタレーション。

「リートフェルトをつくって」 @SOUKA-草花- 2007.06.22-25
Rietveldさんの家具をダンボールで実寸模型に再現するワークショップ。

「机の帰還 」 @glass Onion 2007.07.19~
廃棄される学校机を店舗什器に再生する試み。

「シュレーディンガーの椅子 」 @Store Room 2007.09.07~
学校のようなお店に学校の椅子を納める。

「いまはもういない、のこと」 @夏コミケット 2007.08.19発行
ヴォーリズ建築の取材過程を記録したテキスト。

「キャンの岬はどっちですか。」@souka 07.11.17-18
「祈りの椅子」のプロトタイプに座ってみる。

「そしていまはもういない予告編」 @冬コミケット 2007.12.29

「そして、いまはもういない。」 @夏コミケット 2008.08.17
ヴォーリズ建築で失われて痕跡の儚いもの達。

「一脚の椅子 イルマリ・タピオヴァーラ」@「淀江の家」グラムデザイン 2008.10.04-05
ピルッカスツールを展示。

「いまはもういない、祈り」@冬コミケット 2008.12.30
キリスト教関係のヴォーリズ建築で知られざるもの達。

「古い家を借りて自分で直したら大きな黒板のある家ができた。ワタシの(^^)」@黒板亭 2008.03.--2009.04
廃屋寸前の賃貸住宅を順調に時を経たかのようにレストア。

「蒼天青雲 in 関西」@そうさく畑63 2009.04.05
既刊を関西地区で初配布。 山Dさんもお誘いして。

「ヴォーリズさんを探しに行った日々について」 2009.=
蒼天青雲にとっての「建築の保存」について話す。

「旧豊郷小学校写真集」@夏コミケット 2009.08.16
豊郷小学校=桜ヶ丘高校という繋がりと広がり。

ヴォーリズ建築文化全国ネットワーク第3回全国大会@近江八幡 2009.10.11
ヴォーリズファンしか居ない場によばれてヴォーリズさんの写真集を配布。

「みどりのはら」「近代残像 函館」「近代残像 長崎」@冬コミケット 2009.12.30
阿佐ヶ谷住宅へのオマージュ。函館と長崎、北と南の洋館が並ぶ港街。

「近代残像 京都」@コミティア92 2010.05.04
前世紀末の京都の町中における近代建築を紹介。

「米子市公会堂」 2010.07.15 +コミケット78
山陰に置かれた村野藤吾さんのグランドピアノについて。

「近代残像 神戸」@コミケット78 2010.08.15
神戸にある近代建築の様々な残り方と消え方。

「近代残像 湘南・箱根」@コミケット79 2010.12.31
太平洋に面して残る関東地方を取り巻いていた別荘地帯の痕跡。

「さくらはさく」@コミティア96 2011.05.05
千葉県浦安市の埋め立て地に咲く桜の花。

「マーリをつくって」@米子高等工業専門学校 2011.07.21
ダンボールで実物x0.8スケールの家具模型をつくる実習授業。

「近代残像 横浜」@コミケット80 2011.08.14
横浜で暮らした日々における近代建築との交わり。

「きらめけ!公会堂」@米子市公会堂 2011.10.21-23
写真集「米子市公会堂」を元にwebと連動したインスタレーションを実施。

「SUOMI CHAIR DESIGN 01. Alvar Aalto」 @コミティア98 2011.10.30
フィンランドの椅子デザインについて。

[以降、続いています


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